京都再エネコンシェルジュ

川内弘睦さん

京都再エネコンシェルジュインタビュー

株式会社プラヂナー(京丹後市)の京都再エネコンシェルジュ・川内弘睦さんにお話をお伺いしました。

再エネ利用設備を設置して20年!

川内弘睦さん

川内弘睦さん

「私は電気工事士で、水道工事も可能です。家庭でできる再エネ利用設備はだいたい設置できます。太陽熱温水器・ソーラーパネル・薪ストーブ・薪ボイラー・雨水タンク・小型風力発電機などを設置してきて、20年ぐらいになります」と川内さん。小規模な設置から対応可能だそうです。「例えば、太陽光パネルを2枚だけ載せたいとか、予算の可能な範囲だけ設置するなど、細かなご要望におこたえすることができますよ」。

現在使っている既設の給湯器に、太陽熱温水器や薪ボイラーなどを繋げることも可能だそうです。「再エネ設備導入を面倒だと思われる大工さんや、既設の設備とつなげることを嫌がる業者さんは多いです。たしかに、どのようにドッキングさせるか頭を使わないといけないし、調整も必要です。でも、ちょっとややこしくても、今ある熱源をより便利に使う提案ができる。『こんなこと出来るんですか!』と驚かれることもあります」。電気工事も水道工事もできる川内さんだからこそ、実現できる組み合わせがあります。

株式会社プラヂナー 外観

株式会社プラヂナー 外観

いまお勧めの再エネ設備

川内さんに、いま注目しているお勧めの再エネ設備設置についてお伺いしました。

「お勧め1つめは、太陽熱温水器です。優秀な太陽熱温水器があるので広めたいですね。屋根が狭くても、大きな家でなくても、載せやすいですよ。コスパも良いですよ」。家庭で使うエネルギーの中で、給湯はかなり大きな割合を占めています。すでに設置されている給湯器に太陽熱温水器を繋げることで、太陽の熱を利用しながら不便なく生活することもできます。「実はうちの給湯は、古いタイプの太陽熱温水器1台に、真空ガラス式の太陽熱温水器が2台あり、そこから薪ボイラーと石油ボイラーを経由しています。夏は太陽で温められた水が100℃近くにまでなります。曇りや雨や雪などで太陽が出ない日は、薪ボイラーでお湯を作ります。薪ボイラーはお湯を使う直前に燃やす必要はなく、朝でも昼でも夜でも良くて、作ったお湯は保温されるようになっています。万が一、薪を燃やす時間がなかったとしても、石油ボイラーでお湯を作ることができます」。

太陽熱温水器の設置の様子

太陽熱温水器の設置の様子

「お勧め2つめは、小規模の太陽光発電です。パネルで発電した電気を全部使いきってしまうように計画して設置します。昼間の時間帯に家にいる方にお勧めです。太陽光パネルが良く発電するのは10~14時の間。その時間帯に使う電気の量に合わせてパネルを設置します。節電になり、無駄な投資がありません」。屋根で作った電気を自分の家で使う「自家消費」を、最大限活用する方法だそうです。「小さめに設置して確実に使ってしまうのも良いですし、ちょっとだけ大きめに設置するのも面白い。少し電気が余りそうな時は、その時間帯に炊飯ジャーをつけたり洗濯機や乾燥機を回してもいいですし、ポータブル電源の充電と組み合わせてしまうこともできますよ。他にも、温水器のヒーターに電気を使ってお湯を作ってしまうという方法もあります。蓄電池をつけなくても自家消費する方法があるんです」。

会社では薪ストーブや薪ボイラーなども取り扱っておられます。「薪ストーブは好きだし、薪割りも好きですよ。でも、みんなができるわけではない。できない人もいる。一番良いのは、『置くだけで、何もしなくても使えるシステム』ですね」。
他にも、雨水タンクや小型風力発電機なども設置されています。「バイオトイレ(微生物で分解させる)も設置できますよ。田舎で独自の浄化槽を持っているなど、ちょっと条件がありますけれども。ウォッシュレットが使えるので珍しいと思います。コップ1枚の水を流すだけです」。

薪ストーブ設置の様子。ストーブ本体は熱くなるが、しっかり断熱された煙突は熱くならない。

薪ストーブ設置の様子。ストーブ本体は熱くなるが、しっかり断熱された煙突は熱くならない。

地元のイベントで再エネを伝える

川内さんは地元の環境団体・エコネット丹後に参加して、「食とエネルギーの地産地消」をテーマに地元でもイベントを実施されています。子どもたちに太陽熱温水器のお話をするだけでなく、イベントを実施するときの電気を太陽光発電で賄ってしまうことまでされています。「例えば、京丹後54マルシェという地元の食べ物のイベントがあります。このようなイベントで使う電気を、会場にソーラーパネルを持って行って発電して使うようにしています。ところが前回は曇りだったので、あまり発電しなかった。会場から電気をもらってイベントをしました。なので、イベント後もしばらく太陽光パネルを設置したままにしました。当日5kWhの電気を使ったので、後日も合わせて5kWhの電気を太陽光パネルで作って会場にお返ししました。これで再エネ100%電気のイベントです」

再エネ電気を使ってイベントを実施

再エネ電気を使ってイベントを実施

他にも、ユニークなイベントをたくさんされています。例えば、地元の野菜を使って、調理するときにCO2を出さない“脱炭素(無電源)カレー”づくり。「カレーを煮込むときは、ペレットを使いました。ペレットはすぐに火力があがるので、暖を取るだけでなくて調理にも向いています。薪だと火力があがるまでに時間がかかるのでコツが必要なんです」。それぞれの再エネの特長を熟知している川内さんが関わると、楽しく、かつ環境にも良いイベントになります。

ペレットの熱で調理をしている様子

ペレットの熱で調理をしている様子

「環境問題に関心を持つようになったのは、子どもができてから。子どもや孫が苦しんだり悲しんだりするのは見たくないし、逆に、おじいちゃんは未来につながる仕事をしていたなあ、一番にいろんなことに取り組んでいたんだなあって言ってもらえるようになりたいですね。自分の子どもや孫だけでなく、若者に良い未来を渡せるようにしたいと思っていますし、地域のみんなにもそう思ってほしい。prayer(祈る人)ではなく、player(楽しく実行する人)になろう!って呼びかけたいですね」。

(取材:2022年3月14日zoomにて)

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