京都再エネコンシェルジュインタビュー
数値の積み重ねだけでなく、最適な住宅を
株式会社ヨネダ(京都府福知山市)の京都再エネコンシェルジュ・大槻宗行さんと
津田翠さんにお話をお伺いしました。
■株式会社ヨネダhttps://www.yonedagumi.com/
■京都再エネコンシェルジュ 大槻宗行さん、津田翠さん(2名)
https://kyoto-saiene.net/concierge_person/concierge_person-12271/
https://kyoto-saiene.net/concierge_person/concierge_person-12565/
■再エネ分野 太陽光発電 太陽熱利用 薪・ペレット
株式会社ヨネダは福知山市に本社を置いて、
土木、不動産、住宅など幅広い事業をされています。
家づくりを通じたSDGsの達成への貢献を目標とされています。
大槻宗行さんは設計課長、津田翠さんはプランナーです。
今回お話をうかがったモデルハウスは “ZEH[i]”と呼ばれる住宅です。
モデルハウスのある場所は株式会社ヨネダの分譲地の中にあります。
JR山陰線福知山駅からレンタサイクルで訪問しましたが、
道中に、福知山城や大型スーパーを横目にみながら、
15分程で到着しました。
住宅の玄関は広く、吹き抜けの天井は開放感があり、
窓からは自然採光で気持ちの良い空間でした。
季節柄、 “ZEH”の性能の寒い暑いのを体感することはできませんでしたが、
眺望もよく良い土地だなと思いました。
[i] ZEHとは、Net Zero Energy Houseの略で、住宅におけるエネルギー収支が実質的にゼロとなる住宅を指します。省エネ性能の高い住宅に、太陽光発電などの創エネ設備を導入することで、年間を通して消費するエネルギー量を創出するエネルギー量で相殺し、エネルギー収支ゼロを目指すのが特徴です。)
「福知山は夏が暑く冬が寒い上に、積雪もあります。自然環境を考えた住宅の提案が不可欠です。」
大槻さんは福知山の特徴からお話を始められました。
「2014年ごろから、国の住宅に対する省エネ目標を意識し、家の性能を重視するように、提供する住宅の設計の見直しをおこなってきました。現在ではZEHをメインにお客様にはご提案しています。
弊社のブランド “With”がZEHになります。ZEH=太陽光発電というイメージがありますが、太陽光発電を設置すれば良いというわけではなく、家の性能を重視し、パッシブデザイン[ⅱ]を採用しています。ストレスの無い年中快適な家を提供したいと思っています。」と、大槻さん。
「まずは、その土地を気に入ってもらうことが大事だと思っています。分譲地内の区画すべて同じ設計の住宅と言うわけではありません。その区画の特徴に合わせて設計を変えています。例えば、角地なのか、隣に家が建つのかによって、窓の位置や遮熱対策が変わってきます。自然条件と土地(区画)条件に合ったパッシブデザインを心がけています。朝の彩光があって気持ちの良い時間を過ごせます。眺望の良い方角が西側や南側で、そこに窓を設置するのであれば遮熱タイプのLow-Eガラスを設置し、サンシェードを導入しています。」と、津田さんは仰います。
大槻さんは、
「数値を積み上げれば、ZEHはできます。でも、それがお客様にとって最適な住空間なのか。過剰な暖房・冷房設備は不要だと思います。高気密高断熱であれば、エアコンもリビングに1台、寝室に1台あれば十分です。床暖房なども採用はしていません。自然採光と同時に遮熱対策など土地に合ったデザインで、お客様のコスト負担もしっかり考慮するようにしています。ライフステージが変わっても、お客様にとって快適な住宅をご提供することがなにより大切であると考えています。」とお話しいただきました。
[ⅱ] パッシブデザインとは、機械に頼らず自然エネルギー(太陽光、熱、風など)を利用して、室内環境を快適にする設計手法です
太陽光発電をフル活用するライフスタイルの提案
「弊社のZEH “With”は太陽光発電を概ね9kw搭載しています。オール電化で給湯はエコキュートを採用しています。空調はエアコンになります。最近のエアコンは外出先からリモートで操作できるので、発電ピーク時にオンにするのがおススメです。外出先やお勤め先からエアコンをオンにしていただければ、帰宅時には十分快適な室温になります。また、保護者の方がお勤めに出られていても、お子様が学校から下校するタイミングに合わせて、エアコンをオンにしていただければ、帰宅したときにちょうど良い室温になっています。夜はエアコンを切っても、日中の冷暖房で快適な空間が保たれています。近年の盛夏では、エアコンをつけたままをお勧めしています。せっかくの太陽光発電をフル活用していただくアイデアもお客様に提案しています。」と、大槻さん。
近年、太陽光発電は売電価格が下がっており、電気料金の値上がりもある中で、「自家消費」することがトレンドになりつつあります。日中の発電ピーク時に電気を使えるようにすればとてもお得なわけです。
“With”の駐車場には200Vのコンセントも設置されています。将来、EVに乗り換えられても便利ですし、災害時には電源を容易に使うことも可能です。
暮らしに係る電気の多くを、自宅で発電し活用できる。太陽光発電を活用したくらしの工夫はたくさんありそうです。
モデルハウスには太陽光発電に関する展示パネルも
SDGsへの取組
「弊社はLCCM住宅[i]にも取り組んでいます。GX志向型住宅[ii]は、弊社の基準で概ねクリアしています。これから先も地域に合った持続可能な家づくりを進めていきたいです。」
今回、大槻さんと津田さんのお話をお伺いして、地域の自然や土地を良く知る地元の事業者であることが、株式会社ヨネダの何よりの強みであると感じました。
その中で、LCCM住宅やGX志向型住宅という最先端の目標にもチャレンジすることで、
株式会社ヨネダの快適な住宅づくりをさらに進化させ続けているのだと思いました。
また、地元福知山のライフスタイルを踏まえて、住まいのアドバイスをされている点は、
地元の事業者ならではのことだと感じました。
(取材:2025年5月15日)
[i] LCCM住宅とは、「ライフ・サイクル・カーボン・マイナス住宅」の略で、住宅のライフサイクル(建設時、運用時、廃棄時)全体を通じてCO2排出量をマイナスにする住宅のことです。
[ii] GX志向型住宅とは、 断熱性能等級6以上を備え、再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量の削減率が35%以上、再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量の削減率が100%以上である住宅のことです。