京都再エネコンシェルジュインタビュー
株式会社タカハシ(京セラソーラーFC京都南丹)(京都府南丹市)の京都再エネコンシェルジュ・髙橋宏弥さんにお話をお伺いしました。
地域に自信と誇りを!地域活性化を使命に事業展開
株式会社タカハシは、「昔からあった都市部と地方の地域格差をせめて服装だけでも埋めたい」と1973年紳士服販売店として創業されました。「丹波地域のビジネスマンを装いにより自信と誇りを持って活動いただくことによる地域活性化を使命に」と事業展開されてこられたとのことです。その後も、情報格差を埋めるツールとしての携帯電話取次事業や耕作放棄地を太陽光発電施設にする事業などで農村部の過疎化に立ち向かってこられています。
2010年より太陽光事業として住宅用から事業用まで太陽光発電を設置してきており、近年は、太陽光発電事業や太陽光維持管理事業も始められています。2015年には京セラソーラーFC内で京都南丹は販売設置量全国1位を獲得。昨年令和元年では、同じく容量部門で1位を獲得されるほど多くの太陽光発電を販売されています。「エネルギーの自給率を挙げることは、その地域に住む人の自信と誇りにつながるはず」と話す高橋さん。社員の皆さんの家には、ほぼ全てに太陽光発電が載っているとのことでした。
「社員みんなのおかげで販売できています」と照れながらマスク越しに話をしてくれた高橋さん
正しい太陽光発電事業は地域の負担を軽減するソリューション
山間部である丹波地域では、整備の行き届いていない農地が点在しており、そのような農地を維持することは難しく、休耕田とし荒廃してしまうのを防ぐことは、地元に経済的・精神的・肉体的な負担を課しているそうです。ここ30年は農村部の過疎化によりその負担に拍車がかかってきているとのことでした。
2013年より本格的に開始した野立事業用太陽光では、発電したエネルギーを販売した収益を土地の維持管理の原資に充てることができます。土地所有者本人が事業を行わない場合には、土地の売却や貸与を通じて土地管理責任を太陽光発電事業者に移譲することができると共に地代等の収入の機会ができるので経済的にプラスになるとのこと。「土地代など一時的な代金を支払う時には、できるだけ地元のものを買って、経済を地元で回すようにしてください」と伝えているそうです。地域の厄介者であった休耕田に太陽光を設置することで、経済的にプラスになり、地域の負担を軽減するソリューションに変えているのだとか。
「太陽光発電がとても安くなったので、固定価格買取制度での買取金額が下がってきていても、まだまだ事業的に成り立ちますので今後も拡大させていきたい」と意気込んでおられました。
京都府立るり溪自然少年の家 に 株式会社タカハシが設置・運営管理をしているパネル
稼働した太陽光をしっかり維持管理するのも課題
「近年一気に広がった事業用太陽光は、管理がいきわたっていない物件の存在や度重なる災害等もあり、マイナスイメージを持たれている方が増えてきているという残念な現実があります。」他社の物件では、法制度の変更で太陽光発電の周りに柵を設置することが必須になったにもかかわらず、まだ設置されていない物件や、下草が伸びすぎて地域でも問題になっているところもあるそうです。
「設置後の維持管理は事業者本人の事業収益確保に繋がるだけでなく、地域の理解や土地提供者の想いにこたえるためにもとても重要です。特に災害の後は、すぐに確認に行く必要があります。」と話す高橋さん。台風や大雪にて災害の懸念がある際は、社員総出で対象地域の設備を全件点検するなど、安全安心に関する取り組みを実施されているそうです。
2015年から太陽光維持管理事業をする会社を作り、施工だけでなく定期的な目視並びに除草サービスを設置顧客向けに展開されています。今年度からは近隣住民が安心できる環境づくりのためにと、サービス対象を拡大し、他社施工の顧客向けにも維持管理サービスの提供を始められています。
地域でエネルギーを作り、地域で使う仕組みを!
今後は、「兵庫県春日町の山王自治会の例(自治会で太陽光を設置して自治会費ゼロで自治会が運営できている)のように、京都でも自治会の避難所などに太陽光発電を設置して非常用電源の確保をしてほしい。そして、若い世代に京都議定書の発祥の地であり、太陽光関連でも有数の企業がある京都で、エネルギー自給率を上げて、自信と誇りを持って暮らせるようになってほしい」と語る高橋さんは男の子4児のパパ。
「子どもたちのためにも限りある資源を大切にして、地域でエネルギーを作り、地域で使う仕組みを作っていきたい。」と語ってくれました。
(取材:2020年8月17日)