京都再エネコンシェルジュインタビュー
ハートカントリーストーブ 株式会社ハートカントリー(南丹市美山町)の京都再エネコンシェルジュ・北田幹雄さんにZOOMミーティングを利用してお話をお伺いしました。
- 株式会社ハートカントリー
- 京都再エネコンシェルジュ: 北田幹雄さん(1名)
- 再エネ分野 太陽光発電 太陽熱利用 薪・ペレット
○約四半世紀 24年の歳月を経た老舗の薪ストーブ店
薪ストーブと輸入雑貨の専門店として24年前に南丹市美山町に開店したのがハートカントリーストーブ。約四半世紀にわたり薪ストーブの販売を続けてこられ、今ではペレットストーブも取り扱い、火のあるライフスタイルを提案されている再エネコンシェルジュの北田幹雄さんに、ZOOMミーティングを利用してお話をお伺いしました。
「お店を始めるきっかけとなったのは、美山町で始めたハンドメイドのログハウスを作り、そこに付けた薪ストーブの魅力に大きな感動をおぼえたことです。信州長野県で輸入雑貨と薪ストーブの今のお店の見本となるようなお店と出会い、田舎暮らししながらできると思いお店を開くことにしました。24年前の当時、特に関西では、薪ストーブの知名度はまったく無かったのですが、私にとっては、憧れのライフスタイルでした。私もそういう生活をしたいと思い、DIYの精神もあったので、当時は木工教室も行うなどしながら、『こういうライフスタイルは楽しいですよ』とスローライフを提案できる仕事としてやってきました。」と北田さんは語ります。
〇別荘から住宅へ 北欧の薪ストーブからペレットストーブまで
「当時は住宅に薪ストーブを設置することはほとんどありませんでした。別荘に設置することが一種のステータスだったのです。当時の薪ストーブはそう言った商材でした。ヨーロッパなどの海外、特に北欧では、暖房が無いと死んでしまう可能性がありますからライフラインの一つなんです。向こうでは、薪ストーブは電気も使わず暖かくすることができるので欠かすことができない物なのです。販売をするにあたって、部品のフォローがあることや、部品のデリバリーがしっかりしてアフターメンテナンスができることを考えると、当時は海外製のものが自然と取り扱いが多くなりました。海外製にこだわっていたわけではないので、今では日本のメーカーも取り扱っています。
ここ10年から15年ぐらいで、景気の影響などもあって別荘での設置はめっきり少なくなりました。代わりに都会の街中も含めた一般住宅への設置が増えてきました。同時にペレットストーブも普及させようとなったのですが、初期のころは燃料の整備が追いついておらず、デリバリーもうまくいかず、普及が難しかったです。徐々にペレット燃料の流通が整備されて、デリバリーも安定してくると、ペレットストーブも普及しやすくなっていきました。私自身は、最初は電気を使わない薪ストーブにこだわりがあったのですが、設置にハードルの高い薪ストーブに比べ、気軽に設置ができ、火のあるライフスタイルのきっかけになると思い、徐々にペレットストーブも積極的にお勧めするようになっていきました。ユーザーは、ペレットストーブを気軽に始めても、環境問題に興味を持つようになったりするんです。ペレットストーブから薪ストーブへ更新されるユーザーも出てきています。また、ペレットストーブはとても便利で、灯油ファンヒーターのようにスイッチ一つで使用できるものもあるので、灯油から更新したいといったニーズも出てきています。高齢化で、薪ストーブユーザーから燃料の扱いやすいペレットストーブへ変更される方もいます。
ただ、私自身はスイッチ一つの便利さより、不便さがあり自分で色々するライフスタイルが好きです。その延長にあるのが薪ストーブなんです。キャンプの延長上のような普段の生活と違った体験。火をつけるのも自然のものなので、火つきが悪いものもあれば良いものもある。そういったものを体験していくうちに、火つけがうまくなって、ストーブの扱いに慣れていくのに喜び、さらにそれを人に自慢するのも楽しく感じています。」
〇『本物の火・炎を楽しむ』
「『本物の火・炎を楽しむ』が私のテーマです。薪ストーブもペレットストーブも炎を楽しみ、使っていたらライフスタイルやモノの見方が変わってくるんです。車で走っていても、以前は景色だけ見ていたのが、今では木が落ちているともったいないと思うようになりました。田舎はもともと農業や林業で成り立っていました。しかし、建築資材では輸入材が多くなり、一部国産材を使おうといった動きはありますが、多くは使われなくなって林業は経営が厳しくなっています。日本の国土の67%が森林なのに、輸入材ばかりです。国産材をうまく活用していってほしいと思うと、間伐材の有効利用も重要で、それを利用できるのが薪ストーブやペレットストーブなんです。さらに、化石燃料ではなく、再生可能な木をうまく使えるのが薪ストーブやペレットストーブなのです。お客さんからCO2の問題の話や、木を使った暖房はCO2ゼロと考えられる『カーボンニュートラル』だという話も出てきます。ユーザーも使うことで意識が高まるんだと思います。
また、炎は癒しの一つです。見ているだけで癒され、精神の贅沢と言えます。火がついた時の暖かさ、体の温まり方は、他では得られない感じになります。まるでお風呂上がりのように体が暖かくなるんです。ぜひこれは体験していただきたいですね。そんな『本物の火・炎を楽しむ』ことができる薪ストーブやペレットストーブは、人々のライフスタイルを変えるきっかけをつくるエコアイテムの一つだと思っています。」
〇まずは体験を
「新しい車を100万から200万円で買い替えるのを、100万から120万円の薪ストーブの設置に変えてみる。そうすれば、新しいライフスタイルが何十年も楽しめます。ペレットであれば半額の40万から50万円で、しかもスイッチ一つで点火でき、手軽にエコに貢献できるのです。真夏場以外はお店で体験いただけますので、ぜひ一度いらしてください。」と北田さん。
北田さんの話をお聞きし、2050年温室効果ガス実質ゼロの暮らしを目指す社会の中で、カーボンニュートラルで人々の意識を高める薪ストーブやペレットストーブは、今後さらに重要な役割を担っていく可能性を感じました。今回はZOOMミーティングでの取材でしたが、ぜひ一度お店にお伺いしたいです。
(取材:2021年3月12日ZOOMミーティングにて 写真提供:株式会社ハートカントリー )