京都再エネコンシェルジュ

山本晶三さんと山本恭子さん

京都再エネコンシェルジュインタビュー

KS(ケイズ)設計室 一級建築士事務所(京都市西京区)の京都再エネコンシェルジュ・山本晶三さんと山本恭子さんにお話をお伺いしました。

太陽からの熱を、そのまま熱として利用する

「この事務所の建物も、太陽熱利用システムで床暖房をしています。それで事務所に来られて体感された方が、こういう風にしたいと決められることも多いですね。実際に暮らしていると、家の中の温度差が少なくなるので体も楽です。小さな子どもさんを持つお母さんにも好評です。もちろんヒートショック対策にもなりますから、年配の方の健康にも良いですね」と山本恭子さん。KS設計室では、長年、太陽熱利用の家づくりに取り組んでこられています。

太陽熱利用の家は、屋根の金属板を4センチほどの隙間を空けて葺いています。屋根と野地板が昼間の太陽で温められ、外気温が7℃ぐらいのときでも屋根の間の空気は60℃ぐらいまで温められるとか。二重の屋根はガラスでカバーされているものや、パネル化されているものなどがあるそうです。屋根で温まった空気はファンを使って、冬は床下に送ることで床暖房になり、夏は熱交換をしてお湯を作ります。

冬の場合は、温められた空気は床下に蓄熱され、夜から明け方にかけてじっくりと熱を出すので、急激に温度が下がることはありません。普通の床暖房はスイッチが入っている場所だけしか温かくなりませんが、熱利用の床暖房だと家全体が、トイレまでがじんわりと温かく、家の基礎温度が上がり、寒暖差はとても改善されるそうです。「太陽熱利用のお家を建てられたお施主様で、よそのお宅を訪問しても寒いので早く自宅に帰りたくなるとか、とても快適だから親戚の年上のおじさんに勧めてくださったという方もおられますよ」。

「日差しを取り込む、日差しを遮るというのは、建築そのものの基本的な考え方」と山本晶三さん。「広葉樹を植えるのも一つの方法ですし、街中でもちょっとした工夫で可能です。最初から断熱材やエアコンに頼るのではなく、熱の取り込みと遮りをきちんと考えて設計した上で、断熱材などを使う。それに、熱をそのまま熱として利用しているので、むやみにエネルギーをつかわなくても快適になります。エネルギーも、物も、捨ててしまうのは何だかもったいないですよね。断熱材を使う時も、廃棄の時に木材から外せるものなのかということを考えます」KS(ケイズ)設計室 一級建築士事務所

気軽に相談を

KS設計室では、日本の木や京都の木を使っての家づくりも積極的にされています。お施主さんと一緒に木材を見に行くこともあるそう。国産木材の利用を進める活動(もくの会)にも参加されています。

最近はリフォームを手掛けることも多く、この前は昭和初期の瓦葺の家のリフォームをされたそうです。田の字型の配置の家を、古く素敵な部分は残しながら、今の生活スタイルに合うように改修されました。茅葺の家のリフォームも進行中です。

「リフォームでは、まず建物が健全かどうかを確認します。耐震性に問題はないか、傷んでいる部分はないかを見ます。次に、どうすれば、夏には家の中の空気が淀むことなく、また、冬は少ないエネルギーで温かく快適に過ごせるか、そして設備の更新について考えます。お施主さんには使い勝手や困っていることなどを聞きながら、キャッチボールを大切にしながら進めます。新築ばかりではなくリフォームにもたくさんのお金がかかります。私たちは設計士だからこそわかる細かなことも含めてアドバイスをし、より良い暮らしができるよう一緒に考えていきたいと思います。また、信頼できる工務店さんを紹介することもできます。時々、設計士って敷居が高いと思われている方もいらっしゃるのですが、そんなこと全然ないんです。住まいのことで困っていることがあれば、小さなことでも、ぜひ気軽にご相談ください」。

山本晶三さんと山本恭子さん

(取材:2020年3月4日)

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