京都再エネコンシェルジュ

河村泰三さん

京都再エネコンシェルジュインタビュー

京都電工株式会社キョーデン中央店(京都市中京区二条通寺町東入榎木町)の京都再エネコンシェルジュ・河村泰三さんにお話をお伺いしました。

持続可能な地域密着型の電気専門店

京都市二条の電気屋さん京都電工株式会社キョーデン中央店にお伺いすると、SDGsのバッチを付けた河村泰三さんがお出迎えしてくれました。河村さんは、再エネコンシェルジュ以外にも京都府地球温暖化防止活動推進員や、うちエコ診断士などの資格を持つとともに、京都中小企業家同友会や京都府電機商業組合、二条繁栄会などの様々な団体で肩書を持って活動されています。

河村泰三さん

河村泰三さんの胸に輝くのは17色のSDGsバッチ

「Sustainableということばが好きでね。SDGsのSと同じ意味のS (Sustainable)を早くからグループ名に取り入れていたんです。」と河村さんは嬉しそうに語ります。京都の地域電気店の市内6店・郡部6店で「e-SLAP」という名のチェーンを組織して、電気店同士の横の連携もされています。このe-SLAPとは、「electoric(電気を扱う)、Sustainable(持続可能な)、Local Area(地域密着型の)、Proshop(専門店) 」の頭文字で、持続可能な地域密着型の電気を扱う専門店という意味だそうです。「このチェーンでは、家電量販店に対抗して「アフターサービスの良さと、きめの細かさ」をセールスポイントに、おうちの中の電気に関することならなんでも対応されているそうです。さらに、自店で購入した商品だけでなく、他店で購入した商品でも、国内全メーカーの修理を引き受けているとのことでした。

Kyoden中央店 kyoden中央店正面
キョーデン中央店 2階の事務所には太陽光パネルも見える

顧客に伝えるのは使命 制度は認識次第

「地球規模の問題である地球温温暖化。再エネの普及(創エネ)と省エネの推進は、その対策になります。直接顧客へ販売を行っている電気店には、創エネと省エネを進める使命があると思っています。そこで、私の自宅を新築した13~14年前には、自宅に太陽光発電を設置するのをグループでの設置講習会に位置付け、太陽光発電の設置の仕方を一緒に学ぶ場にしたんです。そうしたら意外と自分たちでできるんだとわかり、グループのほかの店でも太陽光発電の設置工事を始めることができました。それでも、京都市は景観条例が厳しく全国でも太陽光発電の設置率が低い方でした。そこで、何とかしようと京都府電機商業組合、京都市の景観部署、地球温暖化対策室などが集まって意見交換会をしようとなりました。5~6回集まったのですが、意見交換を進めるうちに、条例はすぐには変更できないものの、いくつかは運用改善で対応できることがわかったり、お店の方でも景観の勉強会を開くことになったりと、相互の理解が進み、だいぶやりやすくなりましたね。制度を生かすも殺すも関わる人の認識次第なんだと思いました。」

kyodenHP

ホームページの太陽光パネルの写真は、ご自宅のパネル

世の中の動き・流れにアンテナを!

「2011年のテレビのアナログ放送終了に合わせて、テレビが良く売れました。次に何が来るだろうと考えた時に、これからは地球規模の問題に対する再生可能エネルギーや省エネ・特にLEDがくるだろうと乗り換えたら、2011年の震災以降その流れになりました。さらにFIT(固定価格買取制度)のおかげで住宅への太陽光の設置も多くなっていきました。2013年からは「京都市太陽光発電屋根貸し制度」が始まったので、みんなに声を掛けたら7件の設置につなげることができました。みんなにしてもらうだけではなく、自社でも設置しようと、「東山いきいき市民活動センター」と「東北部クリーンセンター管理棟」の運営主体となることができました。この制度は、再生可能エネルギーが増え、災害時には地域で使える協定になっていて、しかも運営主体も事業的にプラスになる、「三方よし」のとても良い仕組みだと思います。

東山いきいき市民活動センターの太陽光パネル

東山いきいき市民活動センターの太陽光パネル

東北部クリーンセンター管理棟の太陽光パネル

東北部クリーンセンター管理棟の太陽光パネル

京都府再生可能エネルギーの導入等の促進に関する条例もいいですね。これに基づいて自立型再生可能エネルギー設備等導入補助事業補助金があり、自立型の太陽光発電を蓄電池やEMSと一緒に設置すると対象になり、今年度(令和2年度)からは2分の1以内で最大400万円の補助金がもらえるんです。制度をしっかり知らないともったいないですね。

京都中小企業家同友会では、政策委員会環境経営部会長としてこういった実践的な取り組みの情報を共有したり、SDGs研修などを計画したりしています。こうして、世の中の動き・流れにアンテナを張って間口を広げチャレンジしていくことで、時には失敗するときもありますが、いろいろなことが実現することができました。コロナ禍の今年は、逆にチャンスととらえています。ZOOMなどのWEB会議が広まって、移動の制約が無く話し合いができるようになりました。今後はさらに交流を広げ、アンテナを張ってチャレンジしていきたい。」と語っておられました。

今年は、台風の影響で屋根を調べたところ、自社社屋の屋上の水タンクが浮いているのが分かり、修繕のついでに太陽光発電の設置をする予定とのこと。仕組みを利用して人を巻き込み、自らも実践していくその姿勢で、京都再エネコンシェルジュを実践されています。

 

(取材:2020年10月15日)

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