京都再エネコンシェルジュ

久保勝義さん

京都再エネコンシェルジュインタビュー

ファイン.住宅株式会社(舞鶴市)の京都再エネコンシェルジュ・久保勝義さんにお話をお伺いしました。

空気にこだわった健康になる家

「きっかけは、自分の子どもが産まれたときに、肌がガサガサだったんです。私自身も、子どものときにアトピーがひどくて苦しい思いをしました。それで、家づくりをするのであれば、子どもたちが住みやすくて健康になる家を作りたいと思い、会社を立ち上げました。ファイン.住宅のファインは“健康”です」と久保さん。空気への徹底的なこだわりはこんなところにも。「引っ越しの手伝いもしています。家の前にテントを張って、家具や家電などのホコリを取ってから入れます。ホコリはダニやカビの原因です。せっかくの新築の家なので、できるだけ持ち込まないようにしたいじゃないですか。お客様も、ここまで丁寧にしてもらえるのかと喜んでいただいています」。

久保勝義さん

久保勝義さん

お客様の紹介で、次のお客様に繋がることも多いそうです。「一般的に、建築はクレームが多い産業だと言われています。ゆがんだ、ヒビが入った、木材が伸縮したなど、クレームに繋がりやすいことが多い。でも、私たちはクレームゼロを目指したいと思っています」。

コロナ対策として光触媒コートもされています。新築にコーティングするだけでなく、地域の幼稚園にも出かけていって、無償で実施されているそうです。「小さな子どもたちは、アルコール消毒等だけでは対策が難しいですよね。少しでも役に立てれば」とおっしゃっていました。

ファイン.住宅さんの展示場「福来」は、貸出という形で地域の方も使えるようにされています。料理教室やヨガ教室などで利用されているそうです。また、子ども食堂の場所としても活用されています。

ファイン.住宅株式会社 外観

ファイン.住宅株式会社 外観

再エネ設備

最近は薪ストーブの設置が多いそうです。「来週棟上げを予定している新築も薪ストーブを設置します。リノベーションで薪ストーブを入れることもあります。くつろげるし、火を見ながらしゃべると本音がでるんじゃないかなと思います。モデル棟にも入れていますよ」。

施工事例

施工事例

ZEHプラス HEAT20の「誰もが住みたいまち」を作る

ファイン.住宅さんはZEHビルダーに登録されています。「私たちは、HEAT20(※1)のG2(断熱等級6)の住宅を建てています。国の目標は断熱等級4ですが、本当にお客様のことを考えると、それでは不十分です。でも、壁材などは無垢の木を使います。自然素材を使うことと両立させています」。

断熱だけでなく気密もしっかり上げる必要がある、と久保さんは説明します。「C値(相当隙間面積)というと、ちょっと取っつきにくい感じがしますが、とても大切なんです。なので、測定するための機械を購入しました。新築だけでなく、リノベーションも気密測定をします。リノベでC値を上げるのは相当大変なのですが、やってかないといけないと思っています」。

「断熱も気密もしっかりして、良い熱交換機の24時間換気システムを使う。そうすると、例えば室温20度で外気温0℃、90%熱交換の場合は、18℃で空気が家の中に入ってくる。でも、ちゃんと熱交換しない第3種換気の場合は、0℃の空気が入ってくる。ここを変えないと、削減にはなりません」。

今年(2022年)は、36区画の“ZEHプラス HEAT20のまち”を作る予定だそうです。「誰もが住みたい!と思うようなまちを作っていきたいですね。現在、日本の新築棟数は下がってきています。将来、住宅の3分の1が空き家になると言われています。安売り住宅をしていたら結局捨てられてしまうのではないかな、と思っています」。

「新築住宅も良いが、今、リノベーションがとても楽しい」と久保さんはおっしゃいます。「築120年の家をよみがえらせるんです。柱も梁も、立派なんですよ。基礎をしっかりして断熱をして、良い家にして使っていく。古民家鑑定士の資格を取りました。残せる家と残せない家があるんです。良い家は残し、悪い家は取り壊して新築にしていきます」。

(※1)HEAT20とは、国の住宅省エネ基準やZEHとは別に、高性能な住宅を実現するために設定された基準(一般社団法人20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会)。

楽しく仕事をすることが、地域活性化にもなる

「コロナ禍で家にこもりがちだからこそ、体験が大切。いま、動きたいと思っている方は多いと思います。私たちは山があるので、森林での伐採や、植樹体験、間伐などを一緒にしませんか? と声をかけて、気になった方は親子で来られます。他にも、遊び場を作ろうと思い、キャンプ場を作りました。後ろには海があり、カヤックもあります。ミニ“サバゲ―会場”もそこに作りました。ちなみにキャンプやサバゲ―(サバイバルゲーム)は社員の趣味。楽しいことや趣味を仕事にできたら、最高じゃないですか」。舞鶴以外の地域の住宅を手掛けることもあるそうですが、そういう他地域の方にも舞鶴に遊びに来てほしいし、来てもらえると地元の活性化にもなります、と久保さんはおっしゃいます。

キャンプ場

キャンプ場

久保さん自身は、いま、畑にはまっているそうです。「広い休耕田を借りて、トラクター1台を購入しました。ニンニク・サツマイモ・大豆を作っています。大豆はプロテインを作りたい。サツマイモは(発酵させてメタンガスを発生させることで)エネファームで燃やせるように。ニンニクはペーストにしたものを別会社ですが販売しています。京都府産ニンニクを全国15位まで上げれないかなあと思っています。建築だけでなく、いろんなことをやりたいですね。舞鶴には海も山も川もあり、田んぼも畑もある。海で牡蠣殻が捨てられているのが問題になっているので、重機でつぶして粉末状にして、畑にまいています。海の豊かさ、山の豊かさにもつながります。SDGsについても、できることをやっていきたい。うちの会社では75歳が定年で、80歳までアルバイトで好きな時に働けます。将来的には、高齢者雇用や障がい者雇用につながればという思いもあります」。久保さんの思い描く未来は、健康な住宅にとどまらず、楽しく豊かな魅力ある舞鶴につながっています。

畑にて

畑にて

SNSやラジオで情報発信

久保さんは地元のラジオ局に依頼されてお話をすることもあるそうです。「先日も、コロナの影響で急遽出演者が出られなくなったとのことで、日曜の夜に出演依頼の電話があり、2日後の火曜に公開生放送でした。ぶっつけ本番です。でも、台本がない方がしゃべりやすいです。気密の大切さ、気密の測定をしていること、きちんと省エネ住宅にしたら年間10万円も光熱費が変わってくることなど、思いをぶつけてお話させていただきました」。

久保さんはSNSでの情報発信も積極的にされています。なんと、Line、Facebook、Twitter、Instagram、YouTube、TikTok、Clubhouseまで!

「地場の工務店だからこそ、大手のハウスメーカーよりも良い家を建てる自信があります。言いたいこと、お伝えしたいことがいっぱいある。プライベートなことも含めて、楽しみながらSNSで情報発信をしているので、ぜひ見てください」。

(取材:2020年2月4日zoomにて)

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