京都再エネコンシェルジュインタビュー
企業組合Fuu空間計画(京都市上京区)の京都再エネコンシェルジュ・桜井郁子さんにお話をお伺いしました。
- 企業組合Fuu空間計画
- 京都再エネコンシェルジュ:桜井郁子さん(1名)
- 再エネ分野:太陽光発電 太陽熱利用 薪・ペレット
意識しなくても、安心して暮らせる住宅
「建て主さんのご事情に合わせた設計を大切にしています」。一級建築士の桜井さんがいま手掛けているのは、少し高齢の方の住宅です。「このお家には、太陽光発電設備とエネファームを入れています。節電意識の高い方ですが、昨今の異常気象を考えると、冷暖房の使用を控えるのは実は危険ではないかと思っています。住んでいる本人が意識しなくても、安全で快適に暮らせる住宅というのが目標です」。それ以外にも、メンテナンスがしやすいような素材を選んだりなど、建て主さんの生活やご事情に合わせたご提案をされています。
太陽熱利用や、雨水タンクにもぜひ注目を!
再エネ設備については、太陽光発電を設置される機会が多いそうですが、桜井さんが注目しているのは太陽熱利用設備だそうです。「熱をそのまま利用できる太陽熱温水器のほうが、太陽の恵みを利用しているという実感がありませんか?太陽光発電よりも効率が良いですし、お勧めしたいです」。
数年前に、強制循環の太陽熱温水器を設置されたそうです。「京都市の景観規制により強制循環で集熱パネルの色も決められている地域だったのですが、できれば自然循環型として設備設備していないものにしたかったです。お風呂に浸かるのが好きな人が多い日本では、まさに自然の恵みでお風呂に入れる、無理なく自然に優しい太陽熱設備を載せたいなと思っています」。
いま手掛けておられる住宅には、雨水タンクも設置されました。「高性能で便利な雨水タンクを見つけました。通常、雨水タンクの底には泥などが溜まってしまうので、大きなタンクの掃除をしなければならないですよね?でも今回のものは、水流に工夫がされていて、泥や汚れとともに古い水から捨ててくれるので、常に新しい雨水が溜まるのだそうです。定価は割と高いものだったのですが、アウトレットのものを見つけ、さらに行政の補助金も追加募集に滑り込み、かなりお安く設置することができました」。
地元の大工さんに建ててもらいたい
「昨年度は、木造3階建の小さな事務所ビルを設計し、地元の大工さんに建ててもらいました。メンテナンスや修繕を考えると、建て主さんにもメリットですよね。これからも地元の大工さんと一緒に顔の見える仕事をしていきたいと思っています」。
「町家の改修もしましたが、土壁や漆喰などは予算との折り合いが付かず、なかなか手掛けられません。クロスではなく壁紙を使うなど、できるだけ自然素材を意識はしているのですが」。
自然素材だと水拭きはしにくいなど、メンテナンスで気を付けないといけないこともありますが、昔の建物には先人の知恵がたくさん詰まっている、といいます。「温熱環境についていえば、例えば、蔵が置き屋根(屋根が二重)になっているのは、その隙間に風が通り、熱や湿気がこもらないなど、理に適っていることを、実際に機器を使って測定・研究された方からも教えていただきました。こうした先人の知恵を活かしながら家づくりができたら、お金を掛けすぎることなく、自然環境と住み心地とのバランスのよい家づくりができるんじゃないかと思っています」。
建築は『私の作品』づくりではありません。一番大切なのは建て主さんの思い。どんな小さなことでもまずは相談してもらいたいですね、と桜井さんはお話されていました。
企業組合Fuu空間計画とは
桜井さんが働いている「Fuu空間計画」は、設計以外にも、調査やデザインのお仕事をされています。景観にとって重要な建物に関する調査や、チラシデザイン・福祉関係の団体さんのニュースレターの作成、ホームページ制作などを手掛けていらっしゃるとか。お寺さんのチラシのデザインをされたこともあるそうです。デザインはもう一人の方が担当されているとのこと。
最後に、桜井さんに京都再エネコンシェルジュになったきっかけをお伺いしました。「登録をすることで、学びの機会が得られると思ったからです。定期的なスキルアップ研修は参加するようにしています。世の中も進化していますし、もっといろいろなことを知って、どんどん実践していきたいですね」。
(取材:2022年2月21日Zoomにて)