京都の再エネ生情報

株式会社 美山ウッドエンジニア:美山ショールーム

2022年2月5日、再エネ(薪ストーブ)が展示してある美山ウッドエンジニア(南丹市美山町)のショールームを訪問し、薪ストーブを取材させて頂きました。
この美山ショールームには、常時薪が燃えている実演ストーブが4台、展示されているストーブが12台、合計16台がずらりと並んでいました。
私が訪問した時は、ちょうど展示する最中でしたが、薪のサウナストーブまで展示されています。
さらに、薪ストーブのことなら何でも相談できるプロ中のプロが、薪ストーブに関するあなたの疑問に何でも即答してくれます。
購入から設置工事、メンテナンス、アフターフォローまでしっかりしているのは当然で、さらに薪の宅配サービスまであります。
これは、家の外に小型の専用ラックを設置すると、ラックが減った分を巡回する方が補充していってくれるという便利なサービス。
家で再エネを実際に使う敷居が、随分下がってきたなというのが実感です。
建物の外の左手には、薪が展示即売されていて、好きなだけ買って帰ることができます。
ショールームの隣にはおしゃれなカフェがあり、まったり過ごすこともできます。
薪の火のある暮らしは、同じ暖房器具でも暖かさが違いますね。
当センターにはペレットストーブがありますが、炎ゆらめく薪ストーブにとても魅了されました。
薪ストーブも進化していて、スマホで火力をコントロールできる機種などもあり驚きました。
少しでも関心がある方は、ぜひ実物に触れてみてはいかがでしょうか。
コロナウイルス対応として完全予約制で、HP、電話、メールで予約が可能です。

https://woodengineer.jp/

お問い合わせ先
美山ウッドエンジニア:美山ショールーム
〒601-0755
京都府南丹市美山町静原垣内10−8
南丹市美山和泉観光交流広場/美山エビスウッズガーデン 内
TEL.0771-75-1053 FAX.0771-75-0835(火・水曜定休)


岡本高明さん:美山ウッドエンジニア 代表取締役 インタビュー

木材を仕事に

Uターンで美山に帰ってきて、何とか木材を使いたい、何とか木材売りたいと、薪販売の仕事を始めたところ、地元の若い子とか移住者が集まってくれました。
弊社の真似して始めた業者は、どこも3年もせずに全員やめていくぐらい、しんどい仕事です。関西で一番薪を売っていますが、それでも赤字でプラスになりません。
若い子が、夕方にはヘトヘトになって不細工な顔になるぐらい疲れて、さらに儲からない仕事とくれば、だれもやらないですよね。
でも若い子らと、これが最先端の仕事や、いずれこういう仕事が残っていくんだという目標を持ってやってきたので、10年続いたと思います。

薪ストーブに補助金が出るんですけど、薪ストーブは利益があるんです。
設置後、薪ストーブに必要な薪がないんです。薪難民という言葉があるぐらい足りない。
薪の相場は、1束500円で、本当は計算上750円ぐらいでないと、社会保険を払って若い方たちを雇えないのです。
弊社が何とかなっているのは、薪ストーブの方が基本的に薪より商売になるので、薪ストーブと両輪でやっているからです。
年間に薪ストーブが120台売れたとしても、月に10台です。ということは、残りの10日間に時間を作って、薪を割ったり、運んだり、煙突掃除をしたり、アフターフォローに力をいれようっていうことで、ここまできました。
始めた当時の薪ストーブって、今もないですが、普及率が0.3%くらいであまり知られたものでなく、実は薪は足らなくて、メンテナンスもなくて、要は設置したら終わりの産業でした。
薪を販売していると、そういうニーズがあることに気づいて、時代はこれからアフターフォローなんじゃないかなと。
薪販売と、薪ストーブ、アフターフォローの両輪で、企業努力をとことんやって、コストを下げることができたけど、それでも薪だけだと赤字なんです。

林業をまっとうな産業に

エコやバイオマスに興味があるならば、無農薬野菜と一緒で、木を使うということはお金がかかるけど、薪ストーブという良いものを使う豊かな暮らしを選ぶっていうことだと思うんです。
だから、頑張って少々薪が高くても、1束750円でも買ってあげて欲しい。
この産業が成り立つのに最低750円かかるということが分かったら、750円で頑張って買いましょう、っていうのが本当のバイオマスというか、何かが変わるきっかけになると思う。
でないと、林業者が産業として続けていけないのです。
やっぱり、現場で泥々になって働いている人がいるから、この木(薪)を燃やせるし、美味しい野菜が食べられるわけだから、この人たちから僕は1円でも高く買いたい。
80歳の父は製材所を経営していますが20歳くらいから約60年木材の金額が変わっていないと話しています。
薪を作るための原木の仕入れ価格と相場価格、物価とかを考えると、成り立たないですよね。
弊社は買い叩いてはいないけど、やっぱりこの金額では産業として続けてもらえないと思っています。
本当に薪ストーブを普及させたいなら、施工もせずに本体を売るだけの一部の業者が儲かる補助金よりは、買った後にかかる薪代に補助金が出るといいと思います。
林業者を応援することにつながる、理にかなったところに補助金をつけてもらえると有り難いですね。

薪が使った分だけ補充されていく仕組み

薪をまとめて販売する時に、規格というか単位がないのです。1束幾らとかしかない。
1束って21センチの輪っかで、長さが40センチの薪も1束、50センチの薪も1束、これしか世の中にない。
僕は、大体これが40束くらい入る(1.5m×1.3m)専用のラックを作って、薪の宅配サービスの仕事を始めたんですね。
専用のラックを設置してもらって、担当者が定期的に巡回して、使って減った分の薪を勝手に補充、使った分だけ請求、そして口座引き落としという流れです。
ちょっとの置き場で、いつも補充してくれるというサービスは、ユーザーにとっては便利なんです。
薪って1か月しっかり使うと横3メートル縦1メートルくらい使う。
4か月だと家の周り全部のスペースが必要で、京都は長屋とかで置く場所がない。
実は薪は広葉樹がいいとされています。針葉樹は薪としては嫌がる人もいるのですが、煤がたまるというのが全くないというデータがちゃんと出ているので、間伐材である針葉樹の薪でやっています。

(※針葉樹の薪は、煤が多いのでは、高温でストーブが傷むのでは、火持ちがしないのでは、という3点がマイナスのイメージでした。信州大学との共同研究の結果である元データをみたのですが、煙突が詰まりやすい、ストーブを傷める、煤が多いという事実もないことが分かっています。薪が湿っていたり、燃焼空気が十分でない場合に煤が発生するため、乾燥した薪を、必要に応じて空気の量を絞るなど、焚き方一つで問題なく使うことができます。樹種に関係なく、同じ重量の薪が同じ熱量を発生させるため、火持ちの面では広葉樹に劣ります。)

実際に使ったお客さんの意見は、1年目は広葉樹がいいわと、ちょっと広葉樹も買ったりしますが、2年目、3年目になったら一切広葉樹は買わなくなります。
最初ちょっと焚き方が違うのと、イメージが違うだけ。
普通にただ売るのではなく、こういうお客さんが使いやすいアイディアを考えて、薪の普及に努めています。

ユーザーの不安を無くす

全国的に普及率が横ばいの中、丹波地域で薪ストーブの需要が増えたのは、弊社がお客さんの不安を全て取り除いた結果です。
薪ストーブの不安の払拭、煙とかの色んな問題の解決、アフターフォローも完璧という会社ができて、実際うちに話を聞きに行くと、全部解決してくれることがわかって、じゃあ導入してみようかという人が増えたから。
皆さんに知って欲しいのは、みんなが思っている薪ストーブってもう過去のもので、最新機種はスマホやタブレットから空気の調整ができたり、過去のストーブとは全く違うんですね。

薪ストーブの困ったを全て解決

薪を販売してると、お客さんに困ったといわれるのは2つ。1つは部屋が暖まらない。もう1つは煙が隣にいく。その2点とも設計が悪いから。最初の段階で相談してもらったら、その2つは絶対にない。
僕らが取り扱っている海外のメーカーは、火事の心配が一切ないんです。メーカーが、これ位距離があれば火事になりませんっていうのをデータで出してくれているんです。それを見て施工するんですけど、日本のメーカーはちゃんとしたデータがないんです。
僕らもよく言うけど、消防法ってあって、それによると、薪ストーブを家の真ん中に置かないと無理なぐらいの距離が書いてあるんです。でも、消防署の人は皆わかっていて、消防法はそのまま適用されずに、メーカーさんとかが火事にならないと立証できたら大丈夫ですって文言がある。だから僕も消防署の人が来た時は、ヨーロッパのデータを見せて「こうですよ。」っていうと、「OK。」となる。
全てをちゃんと説明するので、薪ストーブの設置に関しては自分の判断ではなくて、まずは僕らに聞きにきてほしい。

火のあるすてきな暮らし

今度、薪サウナ始めるんですよ。サウナが最近流行りだして、ただ単にサウナは結構あるんですが、エストニアのお洒落なサウナ。見た目も大事で、置いてかっこいいと思う、いいなと思うものを僕は使いたいなって思います。
それこそ今からサウナ部門をやり始めるので、こういう取り組みに興味があって弊社で働きたいという人がいたら、その部門を任せます。
自分が企業する時は、若い子がここで働きたいと思うような会社を作りたいっていう理想がありました。
薪ストーブがずらっと並んであって雰囲気が良くて、そういう所で仕事をする。
もちろん、反面ドロドロになりながらの仕事もするんですけど。
有名なホテルに卸されていて、薪を並べてディスプレイしたりとか、そういう華やかな一面もありますよ。今はコロナの影響でできないですが、年に3回くらいは、薪を卸しているおしゃれなピザ屋さんで打ち上げをしたり、自分たちが作った薪がこんな風になっているよと。
薪ストーブって設置したら、お客さんがほんとに泣きそうになって喜んでくれる人が多い、クレームのない商品なんです。
それ位いい商品なので、そういうところを味わうと、やっている仕事もやりがいがあると思えるのでは。

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